警備員と一口に言っても、その働き方は様々です。警備員は正社員、アルバイトなどの働き方がありますが、基本的には請負業務であるため、警備会社に直接所属する必要があります。人材派遣業として登記している派遣会社や企業が、派遣社員に警備業務を課すことはできません。今回は、警備の現場でいう「派遣」とは何か、人材派遣における警備業務の禁止などを、簡潔に解説していきます。
警備員にはアルバイトはあるが「派遣社員」としての仕事はない
警備員として働くには、一般的には警備会社に直接応募します。警備員の仕事を実務として行うには、直接雇用の正社員やアルバイトなど、警備会社と直接契約を行わないといけないからです。詳細は後述しますが、派遣会社が人材に警備業務を行わせることは、法律で禁止されています。
一般的な「派遣」の場合でも、派遣会社との雇用契約となり、実際に行う業務は派遣先の業務になりますが、重要なのは一般的な派遣会社は労働者派遣法に則って仕事を行っていること、派遣会社の行っている業種と派遣先で派遣社員が行っている業種は異なるということです。
警備会社の場合は、警備という専門的かつ特定の業務のみを顧客から請け負うことが特徴で、その契約を「警備契約」と言い、警備契約上の業務は警備業法に則って行う必要があります。
それでは警備における「派遣」とは?
このように警備業と一般的な派遣は異なる業種ですが、警備員として働く際にも「派遣」という言葉が使われることが多々あります。一般的な概念と、警備の現場で語られるそれは明確に異なります。
警備というのは元々が特殊な業態の業界であり、基本的には一つの警備会社が、商業施設や病院や学校など様々な警備対象の施設から依頼を受けて警備員を出向させている事業です。顧客となる警備対象の施設や企業と警備会社が「警備契約」を結び、警備会社が自社で雇っている警備員を、顧客の持つ施設に出向させます。
このことを警備の現場における「派遣」と表現するのです。労働者派遣事業とは明確に異なる枠での業務となっており、棲み分けがしっかりとされています。この2つを混同してしまうと、不法な人材派遣として刑罰の対象になることもあります。
注意すべき「警備」と「派遣」 〜「労働者派遣法違反」とは〜
先ほども説明した通り、警備員が現場で働くためには、警備対象の施設や企業と警備会社が警備契約を結び、その契約に基づいて警備会社が自社の警備員を警備対象施設や企業に出向させることが正しい運用となります。
基本的には警備会社は請負契約となるため、ある警備会社が別の警備会社から人員を派遣して働かせることは、労働者派遣法に違反します。
また、警備会社以外の一般的な派遣会社が警備業務を請け負うこともまた労働者派遣法に違反します。警備業務というのは、例えば「会場や店舗の入り口で手荷物検査をすること」や、「業務として犯罪者を追跡・確保すること」と言った警備の仕事から、「イベントや催し物など混雑する場所での人員整理誘導」、「盗難防止のための買い物客への声掛け」などの業務も含まれます。
これらは警備業法で定められた警備業務であり、警備以外の業務で仕事をしにきている派遣社員に、これらの警備業務を行わせることは労働者派遣法違反になります。
「指揮命令権がどこにあるのか」が重要
さらに警備業において注意しなければならないのは、警備員を統率する「指揮命令権がどこにあるのか」ということです。
警備員はあくまでも警備会社と雇用契約を結んでいるのであって、指揮系統は警備会社にあり、あくまでも警備会社からの指示命令に従う必要があります。
別の警備会社に依頼する場合は、警備会社が別の警備会社と警備契約を結び、指揮命令権を依頼先の警備会社に全て委ねる必要があります。指揮命令権を依頼元の警備会社が持ったままだと、労働者派遣法違反になります。
また、顧客と警備会社のみの契約であっても、警備員は警備会社から指示命令されている業務以外の仕事は、たとえ顧客先からの依頼であっても受けてはいけません。
たとえそれが施設内の軽い荷物の運搬であったり、現場を箒で掃くだけの仕事であったりしてもです。もし受けてしまえば、偽装請負契約となってしまい、労働者派遣法に抵触することとなります。
まとめ
以上、警備の現場における「派遣」について一通り解説しました。基本的に派遣会社が警備業務を行うことはできませんし、警備会社が自らの指示系統で別の会社から人員を派遣することは禁止されているので、基本的に「警備業に派遣社員はいない」ということになります。
警備の仕事に就くのなら、警備会社に勤めることになります。東京・八王子を拠点に都内各地の警備業務を請け負う「桃源警備」は、設立は平成20年という会社でありながら、特に施設警備に当たる1号警備において信頼と実績を積み重ねてきた会社です。
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