警備の仕事における研修とは?警備員になる上で必須となる研修の内容や流れを解説

警備の仕事における研修とは?警備員になる上で必須となる研修の内容や流れを解説

警備員の仕事は、警備業法により規定されています。警備の仕事は組織や社会の安全を守る責任が高い仕事ですから、そうした社会的責任の大きさ故に、警備業法において「法定研修」が規定されています。警備員の仕事をする人は、雇用形態に関わらず全員が法定研修を受講する必要があります。今回は警備員として仕事をする上で必須となる法定研修について解説していきます。

法定研修の概要

まず、法定研修の概要について説明しましょう。

法定研修は、基本教育15時間、業務別研修15時間、計30時間の研修です。警備会社では、30時間程度の研修を4日から5日かけて行う場合が多いです。研修は基本的に研修所へ毎日通う形になり、泊りがけの合宿などはほとんどありません。基本的には昼間に行われますが、夜間に行っている場合もあります。

研修期間中でも、警備会社から給与が支払われます。しかし研修中の給与は、多くの警備会社で最低賃金での時給を基準に計算されており、概ね30時間で2万円ほどが相場となっています。

基本的には研修終了後、実務を一定期間こなしてから実際の給与に上乗せされるケースがほとんどで、その場で日払われません。研修中の給与のみもらって辞めたり、他の警備会社に行かれたりしては困るからです。

警備員の法定研修①:基本教育

警備員の法定研修はまず、15時間(以上)の「基本教育」から始まります。法定研修の基本教育では、大きく分けて3つの種類の研修があります。「DVD研修」、「座学研修」、「礼式訓練」です。

DVD研修では、警備業務の基本原則や、業務に関わる法令(警備業法・憲法・刑法・刑事訴訟法・遺失物法)を学ぶことはもちろん、初期消火活動や避難誘導、負傷者の救護、警察機関への通報の手順、護身具の使用法なども併せて学びます。警備員としての資質向上を目的に、映像とともに様々なことを頭に叩き込みます。

座学研修では、より踏み込んだ様々な分野を座学で詳しく学びます。例えば、基本姿勢と礼式、警備員としてのモラル、人や車両の出入管理法、効果的な巡回業務の方法、応急処置法、事故防止についてなどです。警備員として実務にあたる際に役立つ様々な知識を学ぶことになるので、しっかりと講義を受ける必要があります。

礼式訓練では、実際に体を動かして研修を行います。内容としては、軍隊のように統率のとれた動きを隊列を組んで行う訓練です。実務において同様の軍隊的な行動を行うわけではありませんので、一見役に立たなそうに見えます。

礼式訓練の目的は、災害等の有事の際に冷静かつ機敏に行動を起こせるよう、潜在的な素質を身につけることにあります。また、警備員としての使命感を身につけたり、心を引き締めたりといった目的もありますので、決して無駄な訓練ではありません。

警備員の法定研修②:業務別教育

基本教育を修了したら、次は業務別教育と呼ばれる研修に移ります。一口に警備と言っても、警備員業務には複数の種類があり、警備業法によって第1号業務〜第4号業務に分類されています。

ただし、第3号業務は貴重品運搬警備や核燃料等危険物の運搬警備で、4号業務は要人警護すなわちボディーガードにあたり極めて特殊な警備業務なので、法定研修に盛り込まれることはほぼありません。

一般的な警備会社の法定研修で取り扱われるのは、1号業務にあたる「施設警備」と、2号業務にあたる「交通誘導警備」「雑踏警備」になります。

施設警備は、大型商業施設や量販店、学校、病院、公共施設、官庁、金融機関、公共交通機関などで行う警備業務です。仕事としては通用口の受付や入退館管理、施設内巡回やモニタによる監視、施錠管理などです。研修では巡回方法や出入り管理の方法、不審者や犯罪者発見の際の対処法などを学びます。

交通誘導警備は工事現場や駐車場、高速道路などで交通整備を行います。雑踏警備は、コンサート会場やスポーツ競技場、花火大会や夏祭りなどの野外イベントや催し物の際に会場誘導や人員整理を行ったり、立入禁止区域への侵入を防いだりするための警備業務です。研修では、交通誘導法や、人員・車両の整理方法、誘導灯・トランシーバー等の設置など専門機器の扱い方などを学びます。

法定研修後の「現任研修」とは

法定研修終了後も、現場ごとに実地での研修を実施します。これを「現任研修」ないしは「実地研修」と呼びます。内容は実際に配属された現場によって異なりますが、年に2回、それぞれ基本教育3時間以上と業務別教育5時間以上の計16時間ほど、半年に一度の周期で実施されます。

警備の仕事はどの分野も責任が大きい大切な仕事なので、警備の質の向上を目的として行われる現任研修に積極的に参加し、継続的にキャリアアップを図ることが大切です。警備会社によっては、警備に関する資格取得のための研修を実施している場合もあります。

まとめ

以上、警備員になるにあたって受講が必須となる法定研修について網羅的に解説し、法定研修後の現任研修についても合わせてご紹介しました。実務にあたり、必須となる法定研修はもちろん、警備の仕事の社会的意義を考えれば、積極的に現任研修に参加し、常に警備業務の質の向上を図ることは非常に大事なことです。

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