警備中にケガを負わせるような過失をした場合はどうなる?わかりやすく解説

警備中にケガを負わせるような過失をした場合はどうなる?わかりやすく解説

警備員は、通行人や施設利用者に対して注意喚起や誘導をしなければならないときもあります。しかし、警備員は、警察官のように法律上の特別な権限を与えられていません。

警備の状況によっては、相手にケガを負わせてしまうということも起こり得るので注意しなければなりません。

今回は、人にケガをさせてしまった場合の法律的な解釈や過失についてわかりやすくまとめました。警備員への就職を考えている方や警備などの仕事に興味のある方は、この記事を参考にしてください。

職務上の行動における過失の場合

飲酒している人が、立ち入りを禁止している施設に無理やり入ろうとするというケースはあります。相手が抵抗している状況で立ち入りを阻止したときに、ケガをさせた場合にはどの程度の過失になるのでしょうか?

暴行罪や傷害罪とは?

警備員の行動に関係する法律は、暴行罪や傷害罪です。暴行罪とは、刑法208条に記載している「暴行を加えた者が、人を傷害するに至らなかったとき」に成立するものです。一方、傷害罪は、刑法204条に記載している「暴行を加えたことで、相手がケガや気を失うといった傷害を負ったとき」に成立するものとなっています。

警備員には正当防衛が当てはまる

暴行罪や傷害罪における「暴行」とは、相手に対して直接的に暴力を振るうことを意味しています。警備員が、警備中に相手の背中を押したり、腕をつかんだりする行動は暴行です。また、そうした行動によって脱臼するなどのケガが生じた場合には、傷害罪が適用されます。

ただし、警備員は安全に関する指示に従わなかった人に対して、押す、または押さえるといった有形力を行使したものです。そのため、警備員の行動は、刑法35条にある「法令、または正当な業務による行動」に当てはまるといえるでしょう。

警備員の有形力は、業務を果たす上で必要な限度で用いることができます。そのため、有形力の行動が過度なものであった場合には、正当防衛が認められないこともあるので注意が必要です。

交通誘導のミスによる過失の場合

警備員の中には、交通誘導を担当する人もいます。警察官や交通巡査員による交通整理については、交通規則よりも優先されます。一方で、警備員による交通整理については、交通規則が優先されるので注意が必要です。

警備員にも賠償責任が生じることがある

警備員は交通誘導を行っていたものの、不注意によって交通事故が発生してケガ人が出た場合、運転手だけではなく警備員にも賠償義務が生じる可能性があります。

誘導のミスによって運転手を惑わしてしまったことになるので、その部分においての過失が発生します。過失の割合は、事故のケースによっても異なるので注意しましょう。警備員と運転手の過失割合が1:9のケースもあれば、5:5になることもあります。

刑事事件に関して過失を問われることは少ない

民事事件に関しては、警備員の過失が問われることがあります。しかし、刑事事件については、ほとんどの場合で問われることがありません。

警備員が刑事事件を問われるケースは、運転手が交通規則を守って安全運転したにもかかわらず、交通誘導の警備員が不適切な指示を与えたことによってケガ人が発生する事故が起きた場合です。

そのため、警備員が刑事責任まで過失を問われることは少ないでしょう。

まとめ

警備員が職務上の行動で相手にケガを負わせてしまった場合、有形力の行動が過度なものでなければ正当防衛が認められるでしょう。交通誘導のミスによってケガを負わせてしまった場合、民事に関しては過失を問われることがあります。

ただし、施設の警備や交通誘導の警備にかかわりなく、与えられた業務に責任を持って勤めることは重要といえるでしょう。

「桃源警備」は、マンションや病院、学校や商業施設の警備を行っている警備会社です。駅前や工事現場などの交通量が多い地域については、交通誘導も行っています。

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