負傷者に対して警備員がおこなう応急救護とは?

負傷者に対して警備員がおこなう応急救護とは?

施設内巡回などの警備をしている最中に、負傷者を発見することがあります。その際に行わなければならないのが応急救護です。状況によって違いはあるとは思いますが、基本的な部分をあらかじめ覚えておくだけでも違います。そこで今回は警備の中での応急救護についてご紹介いたします。

応急救護とは

応急救護というのは、負傷者がいた場合に救急車が到着するまでの間に、器具や薬を使うことなく行う救護活動のことを指します。心肺停止している方に対して、近年ではAEDを使用して心肺蘇生を試みますが、その場合厳密には応急救護ではないということになります。しかし、大切なことは器具などを使っているかどうかということではなく、救急車が到着して救急隊員による処置が始まるまでの間に、どうにかして生命を維持させるということといえるでしょう。

しかし、負傷者がどのような状態なのかは、その場になってみなければわからない部分です。出血をしているかもしれませんし、見た目にはわからないもののクモ膜下出血など深刻な事態ということも考えられます。そんな中で適切な応急救護をするとなると簡単なことではありませんが、あらかじめどのように対処をしたらいいのかを把握しておくことで、とっさの行動にも違いが出るでしょう。

まずは「体位管理」を行いましょう

負傷者を発見したらまず行うことは「体位管理」です。これは負傷者を安全な場所へ移動した上で、安静にさせることを指しています。場合によっては移動させることがかえって危険ということもありますが、その場での救護が難しいこともありますので、まずは安全なところへと移動をさせるのです。安静にさせるといっても、何もせずにそのまま見守るというわけではなく、負傷している部位を悪化させずに、楽に呼吸ができるように務めることが大切です。

負傷者の意識がはっきりしているのであれば、どの体勢が楽なのかをヒヤリングした上でそのとおりにしてあげましょう。もしも意識がないということであれば、ただ寝かせたままですと嘔吐物などによって窒息してしまう恐れがありますので、気道の確保は欠かせません。基本的には負傷者を横たわらせた状態で、あごを上に向ければOKです。また、腹部に外傷や痛みを訴えているようでしたら、仰向けの状態で両膝を立て腹部に負荷がかかりにくいようにするとよいでしょう。胸に苦しさを感じている場合や、頭に外傷がある場合であれば、仰向けから上半身だけを少し起こした体位が適しています。

心肺蘇生で脳に後遺症が残るのを防ぐ

心臓や呼吸がもしも止まってしまっていた場合、そのまま救急車の到着を待ってしまうと脳に酸素や血液が送られないままとなり、予後に大きな影響を与えてしまいます。それを防ぐための方法が心肺蘇生です。適切な対応を行うことでAEDの効果を高める事もできますし、脳の後遺症を残さないことも可能となるでしょう。

心臓マッサージは負傷者の胸の真ん中を目安に行うようにしましょう。重要なポイントは「強く、早く、絶え間なく行う」ということです。心臓マッサージを行う場合に、力加減はどの程度にしたらいいのか不安になってしまうかもしれませんが、強く押し込んだ際に5センチメートル沈むくらいが適正となります。小さなお子さんや乳幼児の場合は、胸の厚さに対して1/3沈む程度です。スピードも重要ですので、1分間に100~120回ほどのスピードで繰り返しましょう。呼吸や心臓が再開されるまで、できる限り中断することなくマッサージをし続けることが大切です。AEDが近くにあるようでしたら、使用開始できるまでの間心臓マッサージを続ければ大丈夫です。

上級救命講習というスキル

応急救護の方法を学ぶ手段として、普通救命講習と上級救命講習というものがあります。普通救命講習は、成人に対しての心肺蘇生方法やAEDの使用方法、気道の異物除去法を3時間ほどで実施される講習によって身に着けるものです。上級救護に関しては、それに加えて乳幼児の心肺蘇生方法や外傷の手当や搬送法、体位管理などを習得して実技だけでなく筆記試験までを8時間ほどにわたって行うものです。一般の方であれば普通救命講習だけでも十分でしょうが、警備員として対応に当たる可能性を考えると、上級救命講習を受けておくことで慌てることなく迅速かつ適切な処置ができるようになるのではないでしょうか。

まとめ

見回りや監視だけが警備員の仕事ではありません。いざというときに負傷者に対して適切な処置をできることも重要な仕事の一部といえるでしょう。そのために応急救護の知識を身に着けておくことは、とても大切なことです。万が一のときにでもしっかりとした対応で、困っている人を助けることのできる警備員に興味がお有りでしたら、「桃源警備」へお気軽にご連絡ください。皆さんに喜ばれる警備員の一員になりましょう。